屋上緑化・壁面緑化について

ディスクリプション

ヒートアイランド現象について

屋上緑化・壁面緑化について

ヒートアイランド現象は郊外に比べて都市部の気温が高くなる現象のことです。東京を例にとると過去100年間の間に約3度気温が上昇しました。東京の平均気温は1905年に13.5°Cだったものが1999年には16.6°Cになりました。また最低気温が25°Cより下がらない熱帯夜の日数は1962年に16.2日だったものが2004年には28.4日になりました。
ヒートアイランド現象の原因は緑地や水面の減少、アスファルトやコンクリートに覆われた地面の増大、自動車や建物から出る排熱の増大、ビルの密集による風通しの悪化が原因と言われています。
緑地は水を吸収し、晴れて気温が高くなると気化熱で熱を奪って蒸発します。水面も同様の働きをします。それに対しアスファルトやコンクリートは熱を溜め込みなかなか冷めません。緑や水面で覆われていた地面がアスファルトやコンクリートに変わっていったことがヒートアイランド現象の理由の一つでした。
ヒートアイランド現象が進行すると真夏日の増加や熱帯夜の増加だけではなく、集中豪雨との関連性も指摘され、また熱中症が増加するなど、健康に対しても深刻な被害を及ぼしかねません。

屋上緑化・壁面緑化の歴史

屋上緑化・壁面緑化について

最も古く有名な屋上緑化の事例は紀元前600年頃の古代メソポタミアの空中庭園と言われています。 草に覆われた土屋根や蔦の絡まる外壁などは昔から存在しており、北欧では屋根に草を生やし断熱材としているところもあり、日本でもひょうたんやヘチマを壁面に合わせてその木陰の風で涼しさを呼ぶ習慣もありました。
近代に入ってからはビルのデザインの一種として屋上緑化や壁面緑化が行われることがあり、日本での最初期の事例は昭和9年に建てられた朝倉彫塑館の屋上緑化があります。また大正13年に建設された甲子園球場の壁面には蔦が絡まっていますが、これは西日よけのために植えられたと言われています。その後昭和30年代後半からデパートの屋上の公園化の一環として屋上緑化が行われるようになりました。
しかし現代的な意味での屋上緑化・壁面緑化が意識されるようになったのは2000年頃からの話です。高度成長期以降、熱帯夜の増加など気温が熱くなったということは体感的に感じられていましたが、政策的課題として人々に強く意識されるようになったのは1990年代になってからであり、その問題意識の高まりを受けて、2001年4月に東京都は東京における自然の保護と回復に関する条例改正により、一定規模の建築面積を持つ新築ビルの一部を緑化しなければならないと定めました。2001年10月には兵庫県が東京都とほぼ同じ内容の緑化義務を定め、その後全国の多くの自治体が屋上緑化への助成措置を行うようになりました。

屋上緑化・壁面緑化のメリット

屋上緑化・壁面緑化について

屋上緑化・壁面緑化に人々が何を求めるかは、時代によってフォーカスが異なってきています。20世紀前半においては、コンクリートむき出しの壁面に対して無味乾燥なイメージを抱くことから、そこに緑を加えることで見た目を和らげる修景効果が主でした。また西日よけにもなりますし、直射日光によるコンクリートの劣化を防ぐ意味もあります。甲子園球場のツタはこのような事例となります。20世紀後半のデパートの屋上の庭園はアメニティ効果と集客効果と言って良いでしょう。高度成長期を迎え東京都心部や郊外でも緑が急速に失われていた時期でもあったので、人々の緑に対する渇望を具現化したものが屋上庭園であったと言えます。
21世紀前半の現在においては、まずはヒートアイランド現象の緩和効果や雨水流出の緩和効果が見込まれていますが、空間演出や癒しの効果、建物の修景効果や魅力の増大といったことも期待されています。

屋上緑化・壁面緑化の注意点

屋上緑化・壁面緑化について

良いことづくめに見える屋上緑化ですが、デメリットとしては重さがあります。土や植物を屋上へと持ち込むと建物の上部から強い圧力がかかります。また排水に対する配慮も必要となります。
建物は建築申請の際に建築基準法に基づいた積載荷重が決められており、それを超える重量物を乗せることは危険ですので、屋上緑化の際はその重量計算をすることが大切になります。特に1981年以前に建てられた建物については十分な検討が必要となります。
また当時の建物に施されている防水層は、雨水が室内に侵入することを防ぐためのものであり、緑化のための防水層として考慮されているものではありません。また建物は経年劣化するものであり、劣化した防水層の上に緑化を施すと漏水を招いてしまうことがあります。また植物の根が既存の防水層を傷つけてしまうこともあります。このようなことを配慮し、新たに排水桝(ドレン)を設けるなどの施工が必要になる場合があります。その際にも急な勾配を確保したり、植物の根や葉が入らないようにし、入ってしまった場合でも掃除やメンテナンスをしやすいようにするといった、屋上緑化ならではの工夫が必要になります。
また風に対する対策が必要になります。建物には横から風が当たる時の風圧(正圧)に加えて、その風が上に巻き上がることによる風の力(負圧)がかかります。屋上の高さが高いほどその力は強くなります。 屋上緑化の際には緑化基盤に負圧がかかるので、風が入り込まないようにする設計と固定が必要になります。また芝生ではなく、中高木による緑化を検討する場合は、地下式支柱を設置して倒木防止対策をする必要があります。

屋上緑化・壁面緑化のメンテナンス

屋上緑化・壁面緑化について

山や公園が雨水だけで緑が茂っているのは土壌量が全く違うからで、土壌量の少ない屋上緑化では自動潅水装置の設置が必要になる場合があります。
土壌量の少ない屋上緑化は本質的に乾燥に弱く、土壌が乾燥した場合生存競争が激しくなり、弱い植物は負けてしまいます。生命力の強い植物はコンクリートを破壊するほどの強さで根を伸ばそうとします。自然の山野ではどのような植物が生き残れるかは長い間の淘汰によって決まっていますが、人工的な土壌の上に人間が選択した植生から成り立つ屋上緑化では、どのような植物が生き残れるかは分からないところがあり、乾燥した過酷な環境になってしまうと、上記のように根の侵入のリスクが高くなってしまいます。このリスクを減らすために自動潅水システムを利用するのが賢明です。

屋上緑化・壁面緑化の補助金

屋上緑化・壁面緑化について

上述の通り、屋上緑化壁面緑化はヒートアイランド現象の対策が政策的な課題となったことから普及してきました。この復旧のてこになっているのが補助金の存在です。全国の自治体が緑化助成金を出しています。助成金の条件は市町村によって異なりますので、該当の各市町村に確認することが必要になります。例としては東京都では屋上緑化と壁面緑化について次のようなガイドラインを示しています。

緑化に当たっては、地上での緑化に加え、建物の屋上、壁面及びベランダ等の緑化に努め、緑化面積を可能な限り大きくしてください。また、次の点について配慮した緑化を行うようにしてください。

  1. 緑化は樹木を中心とし、屋上、ベランダ等で樹木による植栽が困難な場合は、芝、多年草等による緑地面積の確保に努めてください。
  2. 既存の樹木は可能な限り生かし、実のなる木や草花、水辺の配置、昆虫や鳥などの生物多様性への配慮など多彩な緑化を行ってください。
  3. 緑化の際は、東京都環境局作成の「植栽時における在来種選定ガイドライン(東京都環境局)」を基本として樹種を選定してください。また、環境省選定の「侵略的外来種リスト(仮称)」掲載種は使用しないでください。

(以下略)

出典:東京都環境局「緑化計画の手引」(平成27年度4月1日版)
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/nature/green/plan_system/guide.html